不動産活用コンサルタント楯岡悟朗
2014年09月23日

一度は全て受け止める

社内でわずか20%の成績優秀者しか呼ばれない表彰式に、

当たり前のように毎年参加してくるトップ営業マンはごく一握りだ。

結果を出し続けている彼らこそ、

「本物」のトップ営業マンだ。

 

そんな才気あふれるスーパー営業マンと、

幸いにも(不幸だったことも)ボクは働く機会が多くあったのだが、

彼らに共通する点として、

 

「一度は相手の意見をすべて受け止める」

 

というのがある。

 

例えば、同じ案件を色々立場で一緒に行うことがある。

打ち合わせに同席することがあるのだが、

時には隣で聞いている比較的温厚なボクでも腹が立つような、

無理難題を上から目線でグサグサ突き付けて来るお客さんもいる。

笑顔でいてもボクの胸の内はあまりの無礼さにグラグラと煮えたぎっている。

 

「いっそのこと机を蹴って席を立ち破談にしてしまえばいいのに!!」

 

ノルマを達成することよりも、

怒りにまかせて破談にしてしまったほうがどれだけ痛快か!

そんな不謹慎なことを考えるのだが、

彼らトップ営業マンは決してそうしない(ならない)。

 

「分かりました」

「一度持ち帰って検討します」

「先方にご意向を伝えてみます」

 

と言って、どんな無理難題だったとしても、

一度は必ず受け止めるのだ。

 

お客さまと良くクレームを起こす営業マンや、

トップ営業マンになりきれない人はこの逆のことが多い。

とにかく相手の意見を頭から(時には食い気味に)否定してしまうのだ。

 

「いや、違いますね」

「それは出来ません」

「そんなこと伝えたら破談になりますよ」

 

お客さんは自分の意見を否定されて面白いはずはない。

その場で怒り出すような、

気の短い人であれば対応はよほど簡単かもしれない。

しかし、その場では何も言わない人も多い。

そういう人に限って、溜めて溜めてあるとき突然爆発する。

 

「○○さんは私たちの言うことを聞いてくれない!」

「相手の肩ばかり持ってどっちの味方なの!?」

 

で最後には

 

「担当を変えてくれ!」

 

と、我々営業にとっては死刑宣告ともとれる、

必殺の呪文を唱えるのだ。

営業マンはプライドと今までにかけた時間と労力、

そしてその報酬であるノルマもろとも砕け散ってしまうのだ。

 

頭から批判・否定しないで、一度は受け入れてみる。

その上で自分の意見や交渉相手の言い分などを伝えてみる。

仕事だけではなく、

お客さん、上司・部下、友達、恋人、夫婦関係などなど・・・。

人付き合いのすべての基本はこれじゃないかと。

 

トップ営業マンと聞くと、

自分の意見を押し通す、

ゴリゴリした人をイメージしてしまうが、

決してそうではない(例外はもちろんいる)。

ボクが見てきたトップ営業マンと呼ばれる人は、

相手の言いたいことをクッションのようにふんわりと受け止めるのが抜群にうまい人だった!

 

余談だが、ボクの本の中でも、

表現に若干の違いはあるが、

 

「一度は全力で受け止める」

 

ということが書かれた章がある。

 

理解している

 

スーパールーキー(と思われた)のAさんという人が入社してきて、

かかってきた電話に出る声が小さいのをとがめられ、

それをきっかけに爆発する上司にボコボコにされ、

2週間で辞めてしまった、というくだりだ。

スーパールーキー

 

実はAさんが受けたこうした試練(電話に出る声が小さい)を、

当然ボクも受けたことがある。

その際どのように対応したのかを、

 

「一度は受け止める」

 

ということを踏まえて書いていきたいと思う・・・。

 

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上司:「俺たちゃ葬儀屋じゃなえんだぞ!

何千万もする不動産という商品を売ってるセールスマンなんだよ!

いつまでそんな暗いトーンで電話に出てんだ、ボケ!!」

ボク:「・・・すみません」

 

こんなやりとりが、

かかってきた電話にボクが出るたびに繰り返されていた。

電話に出るたびに同じようなやりとりが繰り返されていると、

段々受話器を取るのが怖くなり、

なるべく電話を取ることが怖くなってきた。

すると・・・

 

上司:「なんで事務員に電話取らせてんだ!!

下っ端営業マンのおめえが誰よりも早く取れよ!」

 

と言われるため、

電話に出ない訳にもいかない。

自分では可能な限りに声を張り、

トーンを上げ全力で前のめりに電話に出るのだが、

いつまでたっても、その上司の要求するレベルには達しない。

・・・というか、これ以上のテンションで電話に出るのは、

常識的にはありえない。

 

「いったい・・・彼はどんなレベルを求めてるんだ!?」

 

と思っていた矢先、電話が鳴った!RRRRRRRR・・・ガチャ!

 

上司:「ありがとうございます!!!!!!

○○不動産のZがお受けいたしますっ!!!!!!!!!!!!」

 

事務所にいた誰もが振りむくような、

馬鹿でかい声で、

その上司がかかってきた電話に出たのだ!

 

(いやいやいや。これはないだろう!?)

 

と思ったのだが、

 

上司:「お前の場合、このくらいのテンションでいってちょうどいいんだよ!!分かったか!!」

 

(まさか・・・今のテンションでやれ!というのか・・・?)

 

全力で否定したかったが、

身の安全を考えるとやらない訳にはいかない。

仕方なしに

 

ボク:「わ、わかりました・・・。」

 

と、渋々承知した。

はっきり言ってバカバカしい限りだ。

耳の遠いおじいちゃん、

おばあちゃんだったらちょうど良いのかもしれないが、

あんな馬鹿でかい声で電話に出られたら、

受話器の向こう側の人だって困るに違いない。

しかし・・・しょうがない・・・。

 

(やれというのならば、やってやろうじゃないか。これでどうなってもボクの知ったことではない!)

 

と半ばやけくそになったボクは、

次にかかってきた電話に、

 

ボク:「ありがとうございます!!!!!!

○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!!!!!!!!!!!!」

 

と、叫び声にも似た声で電話に出た。

あまりのバカバカしさに、

思わず「プッ!」と笑いそうになったし、

事務員やベテラン社員が含み笑いをしている様子が、

雰囲気で感じ取れる。

そんな雰囲気に気づいていないのか、

上司は一人ご満悦だ。

 

もちろん、毎回毎回こんなテンションで電話に出続けた訳ではない。

彼がいないときは、

出来るだけテンション高めで電話に出るよう気を付けてはいたけれど、

叫ぶような電話の出方はしない。

その怖い上司が事務所にいる時だけの限定だ。

 

彼に対するポーズに過ぎないので、

彼がいるときだけ、

全力で、これみよがしにやってやった!

 

・・・そんな日が数日続いたある日。

 

自暴自棄気味なボクは、

叫び声にも似た電話の出方にも、

違和感がなくなりはじめた。

感覚がマヒしたのかもしれない。

慣れって怖いものだ。。。

 

その上司が事務所にいたので、

いつものごとく、

 

「ありがとうございます!!!!!!○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!!!!!!!!!!!!」

「ありがとうございます!!!!!!○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!!!!!!!!!!!!」

「ありがとうございます!!!!!!○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!!!!!!!!!!!!」

「ありがとうございます!!!!!!○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!!!!!!!!!!!!」

 

と叫び続けいて処、

あまりのやかましさに嫌気がさしたのか、

 

「ありがとうございます!!!!!!○○不動産の楯岡が・・・・」

 

上司:「うるせええええええええええええええええ!!!!」

 

(ええええええ!?)

 

意外な一言に一瞬頭が真っ白になり、

途方に暮れた。

 

(自分がやれって言ったのに。どうしろと?)

 

と戸惑っていると、

 

RRRRRRRRR・・・

 

電話が鳴った。

 

(どうする?どうする?)

 

と考える間もなくとっさに受話器に出たボクは、

 

ボク:「あ、ありがとうございます・・・○○不動産の楯岡がお、お受けいたします・・・」

 

と、普段のテンションよりかなり低めで、

今までなら確実に怒られるであろう控え目なトーンで、

上司を横目にチラリと見ながら恐る恐る電話に出たところ・・・

 

なにも言われない!

 

それ以後も何も言われない(笑)。

これをきっかけに、

このテーマで怒鳴られることはなくなった。

 

ここまで↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

 

今から思い出してみても、

本当にバカバカしいやりとりだった。

しかし、

 

「あなたのいってることは分かってるよ。」

 

と、一度は上司のいうことを全力で受け止めたから、

彼は一応は満足したのかもしれない。

 

「分かってる!あなたの言ってることは分かってるし聞いてるよ!こうでしょ?こうでしょ?これでいいんでしょ?」

 

という過度なアピールが、

怖い上司には必要なだけであってね。

無理難題や怖い上司からの理不尽な要求も、

まずは

 

「一度は受け止めてみる」

 

ということが大事だと思うのだ。

 

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